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趣味の世界を中心に、私taipaが日々思うことを述べていきます。

ネリ、A検体でドーピング陽性!

とんでもないニュースが飛び込んできた。さきのWBC世界バンタム級タイトルマッチで山中をTKOで破ったネリがドーピング検査で陽性となったとのことである。実は私こと、現役会社員の時代にその方面の経験が若干あるので、WEB上の情報錯綜を少しだけ整理してみたい。

まず指摘しておきたいのは、プロボクシングのドーピング検査はVADA(Voluntary Anti-Doping Agency:自発的アンチ・ドーピング機構)が行っており、オリンピックや数多くのスポーツ(ゴルフやテニス、サッカーなどのプロを含む)を管轄しているWADA(World Anti-Doping Agency:世界アンチ・ドーピング機構)とは別ということである。

WADA自身はプロスポーツも含めてすべてのドーピング検査を統括したいのだが、プロスポーツのうちのいくつか(ポクシングとかNFLが代表的)はWADAの基準で罰則を適用されたら商売にならないので、別の機構を作ってアンチ・ドーピング活動を行っている。ボクシングとMMAにおいては、それがVADAなのである。

日本におけるドーピング検査の統括団体はWADAの下部団体になるJADAであるので、私自身正直なところVADAの規程・運用がどうなっているのかは知らない。それでも、アンチ・ドーピングを謳っている以上は、基本的な流れはWADAもVADAも大きくは変わらないはずである。以下、その前提で話を進めてみる。

まず、今回陽性が出たのはA検体ということである。WEB情報ではさっそくB検体の検査もするということだが、A検体もB検体も同じ試料(尿or血液)を2つに分けたものなので、A検体がクロならB検体もクロである。そして、WADAなら検査するのは日本の会社なので間違いはないのだが、VADAの場合は海外で検査していると思われる。だから100%の信頼性はない。

仮にB検体がシロだとすると前に出た結果は間違いでしたということになり、お咎めなしである。日本ではありえないことだが、海外ではなんともいえない。特にVADAの場合、WADAのように高い基準をクリアした検査機関でないので、きちんとしているかどうかは分からない。実際、A検体クロでB検体シロということがあったようである(三浦に勝ったバルガス?/未確認)。

次に、検出された違反薬物について。出たのは筋肉増強剤で、米国では食牛の飼育に使われているそうである。WEB上では試合中のネリが興奮状態にあったこととドーピングの影響を混乱している例がみられるが、筋肉増強剤と興奮剤は別である。しかし、ペナルティは筋肉増強剤の方がずっと重い。

そして、興奮剤の場合はその作用は比較的短期間にとどまる(そもそも、試合直前でなければペナルティはない)のに対し、筋肉増強剤の場合はかなり長期間に及ぶ。WADAはどのくらいの期間体内にとどまるか明らかにしていないが、少なくとも数ヵ月は体内に残留する。日本に来てから使ってないからといって、隠し通すことはできないのである。

最後にペナルティについてだが、これこそWADAとVADAの最大の違いであってVADAの存在理由でもあるので、私にはよく分からない。WADAであれば、①試合結果の無効、②賞金の没収、③出場停止がセットであって、仮に摂取経路が通常の食物といった情状酌量の余地があったとしても、③はともかく①と②の罰則からは逃れられない。

そして、A検体がクロであって免責されるのは、上にあげたB検体がシロの場合(検査の間違い)か、あるいは治療目的の薬物使用の場合に限られる。治療目的の薬物使用は生命に関わる疾患の場合に特例として認められるもので、例えば喘息の選手や、障害者スポーツでは例がある。しかし、筋肉増強剤に治療目的はありえないし(生命に関わる訳ではない)、別の日の検査でシロだったからというのは理由にならない。
 
ところがWADA管轄外の世界においては、必ずしもペナルティが課されなかったり、試合結果が無効とはならないケースもあるようである。NFLでも薬物規定違反の事例は散見されるが、それが原因で個人記録が抹消されたというケースは聞いたことがない。そして、チャベスJr.(マリファナ使用)の例をみると、多少の罰金はあってもファイトマネーの没収はない。

つまり、VADAにおいてはWADAのような厳密な運用はされていないのが実情と思われ、プロモーター間の力関係によるところも大きいだろう。世間一般には、オリンピックと同様にドーピング検査クロ=金メダルはく奪なのだが、あまり厳密にやると、例えば入場料返せとか、スポーツブックは無効だとか、裁判沙汰にもなりかねないのである。

したがって、過去の類似のケースで考えるのがほとんど唯一の方法になる。有名なのは先日引退表明したロバート・ゲレロが、IBFフェザー級タイトルをオルランド・サリドに奪われた際、サリドがドーピング検査クロ(ステロイド)でノーコンテストに改められた2006年のケースである。

この場合は、ノーコンテストにはなったもののチャンピオンは空位で、ロバート・ゲレロは決定戦に出て勝ちチャンピオンに返り咲いた。かたやサリドは7ヶ月後には復帰し、その後もファンマ・ロペスに勝ったりロマチェンコに勝ったり活躍していることは周知のとおりである。もしWADAの世界でステロイドでクロだったら、2年は確実に出場停止となるところである。

この例からすると、仮にB検体もクロの場合、ノーコンテストとネリのタイトルはく奪までは堅いとして、山中がどの程度救済されるかは流動的である。正直なところ、連続防衛記録なんてものにあまりこだわってほしくない。ネリはランキング1位だったから、決定戦にするにしても相手が難しいし、セニョールの「WBCでやらないからいいよ」が炸裂する可能性もある。

この際だから、もし引退せずに続けるんだったらビッグマッチがいいと個人的には思う。
 
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ハンドルは、足しげく通ったマカオの島から付けました。
当時から使っているので、昔の知り合いの方が分かるように引き続き使用しています。

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