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趣味の世界を中心に、私taipaが日々思うことを述べていきます。

「プロ」ボクシングの本質について考える

「世紀の一戦」メイウェザーvsパッキャオから一夜明けた。WEBとかいろいろ見たけれど、世間的な評価を集約するとおそらく、技術的にはすごかったのだろうが、誰が見ても分かるほど強い(タイソンのように)というほどメイウェザーの強さは分からなかったし、誰が見ても感動するほどの激闘(アリvsフレージャー第二戦のように)でもなかったということである。

世紀の一戦としての評価を「カネ」で測る限りにおいて、今回のメイvsパックは確かにボクシング史に残る一戦であっただろうし、おそらく今後数年間は破られない(その後はインフレで貨幣価値が下がるかもしれない)であろう。しかし、今回のPPVを何人が見たかは分からないが、$100払っただけのことはあったと満足する人がどのくらいいただろうか。

私自身の評価としては、$20(WOWOWの月額視聴料)を払うのはいいけれども、プラスアルファを払えと言われればあとから録画で見ればいいというレベルの試合であった。もっというと、実際録画はしたが見ようという気の起こらない試合である。(予想は当たったので、くやしいから見たくないということではない)

だから私としては、今世紀最大の試合は2002年のレノックス・ルイスvsマイク・タイソンだといまだに思っているし、ボクシング史最高の一戦は依然として「スリラー・イン・マニラ」という評価は変わらない。

どうしてそう思うかということを自分なりに考えると、フロイド・メイウェザーのボクシングをどう評価するかという点にどうしても集約されてしまう。パッキャオの良さは誰が見ても分かると思うし、対マルケス兄4戦はボクシング史に残るライバル対決と評価している。問題はメイウェザーの側にある。

よく言われることは、メイウェザーのボクシングは近代ボクシングが究極に進化した形であるというものである。私としてはその点にかなりの疑問を持っている。誤解をおそれずに言えば、究極に進化したものではなくて、袋小路に向けて進化したもの、あるいは究極に退化したものなのではないのだろうか。

ボクシングに限らず、格闘技の本質は「護身術」である。相手を何人倒したとしても、自分が倒されてしまったら終わりである。だから格闘技の究極の目的は、相手にダメージを与えることではなくて自分の身を守ることである。引分けでも判定負けでも、最終ラウンド終わって深刻なダメージを負わずに立っていられることがすべてなのである。

だから、ほとんどすべての格闘技はディフェンスの練習から始める。攻撃が最大の防御などというのはまやかしであって、防御が満足にできない者は練習試合にだって出してはもらえない。その意味で、団体の勝ち抜き戦(戦前の日本でよく行われた)というのは理にかなっている。仮に実力でやや劣っていたとしても、時間切れ引分けに持ちこめば勝ちに等しいのである。

しかし、「プロ」ボクシングはそうではない。なぜなら観客がカネを出さなければ、「プロ」として成り立たないからである。極端なことを言えば、誰も見ていなくてもボクシングの試合はできる。技術には有用性があるし、巧拙がはっきり出る。格闘技はすべてそうである。観客というものを想定していないし、勝敗すら問題としないことがある。

一方、「プロ」として有料で試合を観客に提供するということはそういうことではない。お互いの技術に優劣をつける、はっきり言えば相手を打ち倒すことが求められるのである。アリがグレーテストなのはフレージャーやフォアマンをKOしたからだし、マイク・タイソンは体格で劣るのに自分より大きな相手を打ち倒してきた。

世界戦15ラウンドが12ラウンドになり、当日計量が前日計量になったのは、ボクサーの健康維持が唯一の目的ではなくて、それによって12R攻め続け動き続けることができるようにである。健康維持だけが目的なら、アマと同じ3ラウンドでいいのである。観客は、お互いに相手を打ち倒そうとする戦いが見たい、KOが見たいからカネを払うのである。

すべてのボクサーが「究極系」メイウェザーを目指すならば、行きつく先はお互いに射程圏外をサークリングし、ジャブを当てた回数が多い方が勝ちというタッチボクシングになってしまうだろう。ボクサーが大きなダメージを負ったり深刻な後遺症に悩まされることがなくなるのはいいとしても、それで「プロ」として成り立つかどうかは大いに疑問である。

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コメント

1. 終焉か、到達か?

 いつもお疲れ様です。私の自己採点では4ポイント差でメイウェザーでした。管理人さんはあまりこの1戦を評価されていませんが、個人的には十分楽しめました。前半6Rはほぼ互角の接線でしたが、後半からはパッキャオ独自のスタイルを見抜き、持ち前のアウトボクシングで勝利、やはりメイウェザーは史上最高クラスのボクサーです。ただ、過去のどの試合でもインターバル中に笑みを浮かべて余裕を見せていたメイウェザーが今回だけは一瞬たりともそんな表情を浮かべませんでした。元はフライ級だったマニー・パッキャオ、やはり紛れもない天才であり、怪物です。
 好みがあったとしても、今回のメイウェザーの勝利によってプロボクシングがディフェンス重視&迎撃型のスタイルに大きくシフトしてゆくことはもはや避けられないでしょうね。攻撃型の選手が如何ような工夫をしようと、ハメともいうべきカウンター&フットワークのスタイルを構築してしまえば、もはや打開することは不可能な領域に入ってくるでしょう。野球やサッカーのように選手のダメージを数値化することはまずできませんし、かといって必ず決着がつくラウンド無制限にすることも許されません。
 この先、プロボクシングは相手を倒すコンタクトスポーツではなく、技術の完成度をより競い合うフィギュアのようなアート系スポーツまで到達するのかもしれません。それで成り立つかと言われれば100%イエスとは言えませんが、それはそれで結構成り立つのではないかと思っています。嫌ならファンをやめればいいだけの事、悲観的にならずに少しずつ冷静に見ていきたいと思います。いつまで見続けられるかは私にも分かりませんが(笑)。
 メイウェザーはあと1試合で引退といっていますが、まずないですね。9月の試合をクリアした後は新記録の50連勝を狙ってくるでしょう。それは伝説の完成を目指すミドル級挑戦による6階級制覇とみて間違いありません。最適なコットか、まさかのゴロフキンか、それに思わぬ落とし穴があるかもしれません。その落とし穴にはまった時、メイウェザーはようやくベイビィフェイスになれるのかもしれません(笑)。
 

2. 追伸

名前は「アキラ」です。「NONAME」になってました。

3. 無題

僕は管理人さん、アキラさん双方の意見に同調します。

ただ...ボクシングのルールが大幅に変わってしまいましたからねぇ。
仮に10:10を頻繁に付けていた昔の採点基準で見たのなら...
逆の手が上がっていた可能性もなくはないですからね。

それでも、現行のルールの中で、どうやれば勝ち続けられるのか!?
そうやってたどり着いた、現代ボクシングの究極系がメイウェザーという捉え方もできるはずです。
『昔の採点基準なら』...などと口にするのは、まったく意味をなしません。


一方で、やはりお金を出して見に来てくれるファンがあってのプロボクシング。
という管理人さんのいうことはまったくその通り。
正当性があります。
これだけの規模の興行で、普段は取り上げられることもない海外ボクシングのニュースが...
ここ日本でさえ、一般紙あるいは情報番組等で取り上げられました。

ボクシング界としても、一般層を取り込みたかったのでしょうが...
これでは裏目に出るかもしれませんね。


『観たい人だけみればいい』
これも正論ですが...
そうなってくると、プロという構図そのものが崩れかけなくもない。


もしかしたら、ルールそのものを改正するような取り組みが必要になってくるのかもしれませんね。
4Rのように明らかにパッキャオが優勢だったラウンドも、12Rのようにポイントアウトしてあとはサークリングに徹したメイウェザー。
この2つのラウンドが同様に10:9ではいいはずはありませんよね。
採点基準...そればかりではなく、奇数ラウンドの導入。反則行為の徹底。前日計量からくるリバウンドの問題。さらには体重超過へのサスペンド...
などなど、やらなければならないことは少なくはないと思います。

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プロフィール

HN:
taipa
年齢:
60
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性別:
男性
誕生日:
1957/04/08
職業:
リタイアしました
趣味:
たくさん
自己紹介:
ハンドルは、足しげく通ったマカオの島から付けました。
当時から使っているので、昔の知り合いの方が分かるように引き続き使用しています。

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